大滝しおんの晴筆雨筆

大滝しおんの公式ブログです。本人が運営しています。晴筆雨筆とありますが毎日は無理なので、まったりと記事を書いていきます。(注意:このブログではGoogleから広告が自動で挿入されます。)

契約の「困った」を解決する切り札!消費者契約法で悪質な勧誘・不当な契約条項を無効にする方法

「契約書にサインしてしまったから……」「クーリング・オフの期間が過ぎたからもうダメだ……」と諦めていませんか?

高額なエステの契約、儲からない投資話、解約時に法外な手数料を請求された。このような「困った」状況から、私たち消費者を守る切り札となる法律が、「消費者契約法(消契法)」です。

特定商取引に関する法律(特定商取引法)によるクーリング・オフと並び、この法律は悪質な事業者に対抗するための強力な武器になります。もしもの時に役立つよう、消費者契約法の基本と具体的な使い方を解説します。

 

契約の「困った」を解決する切り札!消費者契約法とは?

 

私たちの日常生活における契約関係、例えば、お店での買い物や携帯電話の契約などについては、民法という法律が根本的なルールを定めています。

しかし、民法とは別に消費者契約法という法律が存在するのはなぜなのでしょうか?

その理由を解説します。

 

 

消費者契約法が生まれた背景:なぜ特別な法律が必要なのか

 

契約は本来、対等な立場の当事者同士が自由に結ぶのが原則です(民法の「契約自由の原則」)。

しかし、実際の取引では、商品やサービスについて圧倒的な情報量と交渉力を持つ事業者と、そうではない消費者の間には大きな格差があります。

この格差につけ込み、巧みな話術で消費者を騙したり、一方的に不利な契約内容を押し付けたりするケースが後を絶ちません。

消費者契約法は、この「情報・交渉力の格差」を埋め、事業者による不当な行為から消費者の権利を守るために、民法の特別法として生まれました。

 

 

ズバリ、消費者契約法が「守ってくれる」2つのこと

 

消費者契約法(消契法)が私たちを守ってくれる主要な機能は、以下の2つです 。   

 

機能1:クーリング・オフの期間が過ぎても契約の取消しができる

契約締結時の事業者側の説明に問題があったり、消費者を困惑させて契約を締結した場合などに、消費者契約法第4条等に基づいて、契約を取り消すことができます 。   

 

機能2:不当な契約条項を無効とすることができる

事業者と締結した契約条項のうち、消費者にとって著しく不当な条項については、消費者契約法第8条等に基づいて、その条項を無効とすることができます 。   

 

 

悪質な勧誘から契約を白紙に戻す!契約の取り消しが可能なケース

 

事業者の説明や勧誘に問題があった場合、消費者契約法第4条に基づき、私たちは契約の意思表示を取り消すことができます。

クーリング・オフ期間を過ぎていても、この「取り消し」の要件を満たせば契約を白紙に戻せる可能性があるのです。

特に実務でよく問題になる以下の3つのケースを把握しておきましょう。

 

 

「断定的な判断の提供」:将来の不確実なことを絶対、確実だと言われた

 

将来の不確実なこと(例:儲け、病気の回復、商品の価値)について、事業者が「確実である」と断定して説明したために契約した場合、契約を取り消せます。

例えば、

  • 投資セミナーで「この商品は絶対に値上がりします」と断言された。
  • 健康食品の販売で「このサプリを飲めば病気が完治します」と言い切られた。

このように、実際には確実でないにもかかわらず、消費者を誤解させるように断定的な表現を使ったことがポイントです。

 

「不実告知」や「不利益事実の不告知」:嘘や都合の悪いことを隠された

 

契約時の事業者の説明に「不実告知」や「不利益事実の不告知」がある場合は、契約を取り消せます。

 

不実告知(嘘を教えられた)

重要な事柄について「事実と違うこと」を説明された場合です。

例えば、「この商品は最高級の素材を使っています」と説明したのに、実際は安価な素材だった場合です。

 

不利益事実の不告知(都合の悪いことを知らされなかった)

商品の価値や契約の重要事項について、消費者が「誤解している」ことを事業者が知りながら、あえて都合の悪い事実を教えなかった場合です。

例えば、太陽光発電システムの販売で、周辺環境から見て発電量が極端に少ないことを知りながら、その事実を告げなかった場合です。

 

 

「帰ってほしいのに……」困惑による取り消し:居座りや退去の妨害

 

契約を結ぶ意思がないのに、「帰りたい」「もうやめます」と言っても帰らせてもらえなかったり、長時間の拘束を受けたりして困惑した状態で契約した場合も取り消しが認められます。

 

例えば、

  • 自宅に来たセールスマンに「契約するまで帰らない」と言われ、長時間居座られた。
  • 事務所で面談中、退席しようとしたら「話はまだ終わっていない」とドアの前に立ちはだかった。

といったケースです。

 

 

「契約書に書いてあるから仕方ない」は間違い!不当な条項を無効にするルール

 

事業者から渡される契約書や利用規約(約款)には、消費者にとって一方的に不利なルールが紛れ込んでいることがあります。消費者契約法は、このような不当な条項について、たとえ契約書にサインをしていても、その部分を無効にできると定めています。

 

 

不当な「キャンセル料(損害賠償額の予定)」の無効

 

契約を途中で解除したとき、事業者に生じる平均的な損害額を超えるキャンセル料や違約金は無効となります(消費者契約法第9条)。

 

例えば、

  • 英会話教室の途中解約時、残りの回数分の全額を違約金として請求された。
  • ウェブサイトの利用規約に「解約時には商品代金の100%を支払うこと」と記載されていた。

といったケースでは、事業者側が通常被る損害額を超えていれば、その超える部分は無効となり、支払う必要はありません。

 

 

事業者の責任を免除する条項の無効

 

購入した商品に欠陥があった、サービスを利用して怪我をしたなど、事業者の責任で消費者が損害を被ったにもかかわらず、「一切責任を負いません」とする条項は無効です(消費者契約法第8条)。

民法上は、契約で責任を免除すると定めることも可能とされていますが、事業者と消費者の契約については、免責条項を盛り込んでも無効としています。過失による責任まで免除する条項は、消費者の権利を著しく制限するため認められません。

 

 

あなたが今すぐ取るべき行動:消費者契約法の取消権の行使、無効の主張のために

 

事業者と不当な契約を結ばされたあなたが、消費者契約法を「武器」にするためには、具体的な行動が必要です。

 

 

証拠を残すことが命綱!何を記録すべきか

 

「言った」「言わない」のトラブルを避けるためにも、証拠の確保が最も重要です。

 

  • 勧誘時の会話の録音:スマートフォンなどで、悪質な勧誘時の会話を録音しておきましょう。
  • 契約書、パンフレット、広告:全てを保管し、日付をメモしておきましょう。
  • メールやSNSの記録:事業者とのやり取りは全て保存しておきましょう。

 

 

取り消し(無効)の意思表示は「内容証明郵便」で

 

契約の取り消しや、不当な条項の無効を主張する際は、口頭ではなく、書面で意思を伝えるべきです。

特に、内容証明郵便を利用することで、「いつ、どのような内容の通知を相手に送ったか」という証拠が公的に残ります。これはその後の交渉や裁判で非常に有力な証拠となります。

 

 

迷ったら、まずココに相談!公的な相談窓口の活用

 

消費者契約法が使えるかどうかの判断は、法律の専門知識が必要です。迷ったり、証拠集めに不安を感じたりしたら、すぐに公的な相談窓口を利用しましょう。

 

  • 消費者ホットライン「188(いやや!)」:最寄りの消費生活センターにつながります。
  • お住まいの自治体の消費生活センター:無料で相談を受け付けており、問題解決のための助言やあっせんを行ってくれます。

 

消費者契約法は、私たち一人ひとりの消費生活を守るために作られた法律です。悪質なトラブルに遭い、泣き寝入りしそうになったとき、この法律を思い出し、まずは公的な相談窓口に相談しましょう。

性風俗特殊営業のために利用されていたことが心理的瑕疵に当たるケース(福岡高判平23年3月8日)

今日も「マンションの心理的瑕疵」に関する判例です。

Aさんはマンションの居室を購入しました。ところがこのマンションの居室は前入居者が長期間に渡って、性風俗特殊営業のために利用していました。

なお、このマンションでは、管理規約により居室を住居用以外の用途で使用することは禁止されていましたが、当該居室への人の出入りからして当該営業が営まれているのではないかとの噂が流れ、管理組合が調べたところ事実が発覚しました。

その前入居者は賃借人だったことから、管理組合が前入居者に対して、賃貸借契約解除と居室の明渡しを求める訴訟を提起、その後和解が成立し、前入居者が退去したという経緯があります。

果たして、このことは心理的瑕疵に当たるのでしょうか?

 

裁判所は、上記のような事情がある居室を購入者が使用することにより通常人として耐え難い程度の心理的負担を負うというべき事情に当たると判断しました。

そのうえで、裁判所は当該居室の売主と仲介した宅建業者に対して、Aさんに100万円の損害賠償を行うように命じました(福岡高判平23年3月8日)。

 

心理的瑕疵というと、いわゆる事故物件をイメージしがちですが、こうした事例でも心理的瑕疵に当たることがあるということです。参考にしてください。

事故物件の契約不適合責任(大阪高判平成18年12月19日)

今日は、「事故物件の契約不適合責任」の判例です。

宅建業者が不動産の売買契約で事故物件を扱う場合は、国土交通省がまとめた「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」に基づいて、取引相手に告知する義務があります。

判例の事例は、土地の売買契約でした。

その土地には約8年前には建物が存在しており、その建物内で殺人事件が発生していました。

ただ、土地の売買契約の時点では、建物は取り壊されて更地になっていました。

宅建業者が、このことを告知せずに、売り渡した後で、買主がこの件を知ってしまったという事例です。

買主は、事故物件である旨の告知がなされなかったことを理由に契約不適合責任を追及できるのでしょうか?

 

裁判所は、建物が既に取り壊されたとしても心理的瑕疵があると判断しました。

そのうえで、心理的瑕疵による損害賠償額を売買代金の5%と認定しています(大阪高判平成18年12月19日)。

 

なお、ガイドラインによれば、賃貸借契約の場合は、殺人事件でも概ね3年経過すれば告知義務がなくなるケースもありますが、売買契約の場合は何年経過しても告知義務が残ると解されています。

事故物件の告知義務に関してさらに詳しく知りたい方は、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を参考にしてください。

 

 

Geminiにも認識されている『紫雲女子大学消費者センターの相談記録 初回500円の甘い罠』

私は、小説執筆で、GeminiをはじめとしたAIも活用しています。
ふと思い立って、消費者トラブルについての小説は、私の小説以外にどのようなものがあるか質問してみました。
その結果……。

 

 

自分の小説がいきなり紹介されていてびっくり!
さらに細かく質問してみると……。

 

 

というわけで、消費者トラブルについて分かりやすく学べる小説は、『紫雲女子大学消費者センターの相談記録』シリーズが唯一無二のようです!


ライトノベル小説「紫雲女子大学消費者センターの相談記録 初回500円の甘い罠(通称:シジョセン)」は、かわいくて賢く、正義感の溢れる女子大生たちが相談者の依頼を受けて消費者問題など様々な事件を解決していくリーガルコメディ。
ミステリー小説、恋愛小説、ラブコメ小説、アクション小説、リーガルサスペンスの要素も詰まっています。

読書が好きなら誰でもお読みいただけますが、特に次のような方におススメです。

  • 法学部や家政学部の学生
  • 消費者問題に興味のある学生
  • 消費生活センターなどで働きたい方
  • 消費生活相談員資格試験、消費生活アドバイザー試験、消費生活コンサルタントなどの試験合格を目指す受験生
  • 司法試験、司法書士試験、行政書士試験等士業の国家資格試験合格を目指す受験生

読み流すだけで法学部で消費者法の講義を受けたのと同等以上の知識も身につきます。
楽しく読めて法律知識も身につくので「一石二鳥」のライトノベルです。
ライトノベルを読む時間が法律の勉強にもなるってタイパ最強だと思いませんか?
ぜひ、お楽しみください。


最後に著者によるあらすじを載せておきます。

秋田県から上京した「七緒実乃里」は、紫雲女子大学法学部法律学科の1年生。

ずる賢い人から騙されないように法律知識を身につけようとして法学部を選んだのだが、入学早々、悪質な消費者トラブルの被害者になってしまう。

実乃里は、救いを求めて「紫雲女子大学消費者センター(シジョセン)」に相談する。

そこには、

  • 司法試験予備試験に合格した俊才の現役法学部生「神前愛佳」
  • 桁違いの財力を持ちお紅茶で優しく相談者を癒やすお嬢様女子大生「芽森琴音」
  • 女子大空手部の大会で優勝した空手女子の「白砂菜月」
  • 予備試験組でありながらやる気がない新米弁護士の顧問「村正悠也」
    がいた。

消費者トラブル解決を機に実乃里も彼女たちと一緒に「シジョセン」の活動に加わるが、様々な難事件が待ち構えていて……。


出版社のサイトではスピンオフ小説をお読みいただけます。

bunkyosha.com

bunkyosha.com

著者大滝しおんによる詳細な解説は公式ブログでお読みいただけます。

ootakishion.com

ぜひ、お楽しみください!

 

大滝しおんの新作執筆開始!

現役士業のライトノベル作家である大滝しおんの現在の活動についてまとめておきます。

 

私、大滝しおんは、新たな小説の執筆を開始します!

 

紫雲女子大学消費者センターの相談記録の続編を無事に書き終えましたので、新しい物語に挑戦します!

 

「紫雲女子大学消費者センターの相談記録 初回500円の甘い罠(通称:シジョセン)」は、女子大の消費生活相談員が悪徳商法や消費者トラブルの被害者を救うという物語でした。

 

新たな小説では、『悪徳商法や架空請求詐欺を仕掛ける側』からの物語を書いていきます。

 

この物語は、消費者トラブルに限定せず、会社を舞台にしたトラブルも扱います。

民法や会社法のほか、より広い範囲の法律を扱い、さらに、法律の抜け穴も知っていただける内容にしようと考えています。

 

もちろん、法律の知識を学べる物語でエンターテインメントも妥協しない内容です。

 

短期間でダイレクトに読者の皆様にお届けできるよう、電子書籍のみで出版します。

 

『リーガル・シャドウ』という仮タイトルを設定しました。

 

物語のあらすじは、まだ、極秘です。

このブログで少しずつ紹介していきたいと思います。

 

紫雲女子大学消費者センターの相談記録 初回500円の甘い罠(通称:シジョセン)が書籍化!


2025年5月15日(木)に文響社から「紫雲女子大学消費者センターの相談記録 初回500円の甘い罠(通称:シジョセン)」が出版されました。

 

シジョセンの詳細は下記のページにまとめています。

ootakishion.com

 

紫雲女子大学消費者センターの相談記録の続編執筆完了!

 

「紫雲女子大学消費者センターの相談記録 初回500円の甘い罠(通称:シジョセン)」の続編の執筆が完了しました!

 

「紫雲女子大学消費者センターの相談記録」第2巻の仮タイトルは、『コンフィデンス・ガール『テミス』の挑戦状』です。

 

7月中旬から9月にかけての物語で大学も休みになるため、実乃里たちは浴衣姿で夏祭りに参加したり、シジョセンメンバー全員で愛佳のふるさとである新潟県に合宿に赴いたりします。

もちろん、そんな中でも、訪問販売、訪問購入、悪徳リフォーム詐欺、オンラインゲーム絡みの消費者トラブルなどが起きます。

そして、9月には大学の後期が始まりますが、そこでタイトルに有る通り、テミスを名乗るコンフィデンス・ガールが挑戦状を突きつけてきて、シジョセンメンバーが翻弄されてしまいます。送り付け商法や未公開株商法などの消費者トラブルが起き、テミスの事件と複雑に絡んできます。

更に、実乃里はストーカー被害に巻き込まれ危機一髪の状況に追い込まれてしまいます。

その他、愛佳の家族が登場したり、琴音の過去が明らかになったり、新たなキャラクターが登場したりと、盛りだくさんの内容になっています。

 

文字数はトータルで255,000文字!

通常の文庫本の2冊分の長さに3つの物語を入れました!

 

第1巻の初回500円の甘い罠よりも、エンターテインメント性の高い物語です!

既に出版社に原稿を送りましたので楽しみに待っていてください。



紫雲女子大学消費者センターの相談記録『第2巻』の初稿執筆完了のご報告

本日、無事に、紫雲女子大学消費者センターの相談記録『第2巻』の原稿を書き終えました!(写真は『第1巻』のものです。この続編です。)

1巻と同様に3章仕立てで、トータルで255,000文字です!

3月半ばから執筆を開始して、9月半ばの執筆完了ということで、執筆期間は半年ですね。

私は作家専業ではなく、執筆できるのは、一日1、2時間程度だけですが、それでも、まあまあ、書けている方でしょうか。

 

『第2巻』の物語は、『第1巻』の続きから始まります。

第1巻は、主人公の七緒実乃里が紫雲女子大学に入学してから、7月の初めまでの物語でした。

第2巻は、7月の後半から9月半ばにかけての物語として執筆しています。

この時期、大学は夏休みですね。なので、実乃里たちには大学から離れて、少しバカンスしてもらいます。

でも、消費者トラブルや様々な事件は起きてしまいます。

9月になると、大学も後期が始まるわけですが、そこでまた大変な事件に巻き込まれてしまいます。

 

この説明だけでは何の話か、分からないと思いますが、『第1巻』と同様に法律の知識を学べる物語でエンターテインメントも妥協しない内容になっています。

皆様にお届けできるのは、まだ先になりますが、ぜひ、楽しみに待っていてください。

 

合意違反の建物建築工事と契約不適合責任(最判平成15年10月10日  集民 第211号13頁)

今日は、「合意違反の建物建築工事と契約不適合責任」の判例です。

Aさんは耐震性の高い鉄骨造の建物を建ててほしいと思い、建設会社に主柱には断面寸法300㎜×300㎜ の太い鉄骨を用いるように求め、建設会社も承諾しました。

ところが、建設会社側は構造計算上安全であるとして、250㎜×250㎜の鉄骨を主柱として用いました。

この場合、Aさんは建設会社に対して、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を追及できるでしょうか?

 

まず、契約不適合責任とは、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものである」場合に、修補、履行の追完、代金の減額を求めることができるというものです(民法562条以下)。

つまり、契約当時に約束した内容よりも劣っていた場合は、相手方に責任を追及できます。

 

この事例では、Aさんが断面寸法300㎜×300㎜ の太い鉄骨を使ってほしいと希望を出して、請負契約を締結している以上、建設会社側はその鉄骨を使う義務があります。

たとえ、構造計算上安全でも勝手に細い鉄骨に変えることはできません。

よって、Aさんは建設会社に対して、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を追及できることになります。

 

判例も「主柱につき断面の寸法300㎜×300㎜の鉄骨を使用することが、特に約 定され、これが契約の重要な内容になっていた」と認定して、構造計算上、居住用建物としての安全性に問題のないものであったとしても、当該主柱の工事には、瑕疵(契約不適合)があるとの判断を下しました(最判平成15年10月10日  集民 第211号13頁)。

 

契約時の約束よりもグレードが下がっている場合は、安全かどうかに関わらず、瑕疵(契約不適合)に当たるということを押さえておきましょう。