プロットは物語の設計図です。面白い物語が書けるかどうかはプロット次第です。小説の執筆スピードを上げるためにも重要な役割を果たします。
今回は、私が実践しているプロットの作り方を紹介します。
プロットとは?
プロットとは、物語の設計図のことです。
ライトノベルにしても推理小説にしても、その他の一般文芸の小説でも、面白い物語になるかどうかは、プロットによって決まると言っても過言ではないと思います。
プロットの作り方は、作家、小説家によって、それぞれのやり方があるでしょう。企業秘密として秘匿している方もいるかもしれません。
また、作家によっては、プロットなんて作らず、思いついたままに書いていくと言う方もいるようですが、もしかしたら、プロットはあるけど、見せたくないからそう言っているのでは? と私は勘ぐっています。
というのも、プロットは、思いついたときにガンガン書き足していくものなので、色々な書き込みが追加されて、ごちゃごちゃしがちです。
作者しか分からない暗号文のような状態になることも珍しくないのではないでしょうか。
私の場合も、最初に作るプロットは、外部に一応見せられるものです。
しかし、その後は、アイデアが思いつく度にガンガン書き足していくので、とても人様に見せられないものになります。
そんな状態になってから、編集者とかから、プロットを見せて下さいとか言われると、人様に見せるためのプロットを一から書き上げなければならないので、そのために別途書き起こしが必要になってしまいます。
そんな時は、面倒なので、私もプロットなんて作ってないと言うかもしれません。
そういうわけで、私が小説を書く時は必ずプロットを作ります。
作っていないと言う時は、ごちゃごちゃして見せられる状態ではないからです。
プロット作りの流れ
ではどのようにしてプロットを作るのでしょうか?
私の場合は次の流れで、プロットを作っています。
- テーマを決める。
- 起承転結を意識して簡単なストーリーを組む。
- 起承転結のそれぞれの場面に盛り込みたい物語を考える。
- 物語の大筋ができたら、それぞれの場面ごとに5W1Hを設定する。
- プロットの完成。執筆スタート!
一つ一つ紹介しましょう。
テーマを決める。
テーマとは、小説で一番描きたいエピソードのことです。
描きたいエピソードはたくさん思いつくと思いますが、全部詰め込んだら、交通渋滞状態になってしまい、ストーリーは進みません。
そこで、たくさんのエピソードの中から、一番描きたいエピソードを一つ選び出します。
次に、そのエピソードにつながるエピソードだけを抜き取って、関係ないエピソードはバッサリ切り捨てます。
切り捨てたエピソードは封印するわけではなく、別の機会に書けるようにストックしておきます。
起承転結を意識して簡単なストーリーを組む。
テーマが決まり、一番描きたいエピソードとそれにつながるエピソードを選定したら、起承転結を意識して並べます。
起承転結は説明するまでもないと思いますが次のような流れになります。
「起」 物語の始まり
「承」 物語への引き込み
「転」 物語の大きな転換
「結」 物語の結末
では、起承転結の中で一番重要な部分はどこかお分かりでしょうか?
多くの方は、物語が急展開する「転」の部分だと思われるかもしれません。
しかし、私は、「起」の部分を最も重視しています。
なぜなら、「起」の部分が面白くなければ、そもそも、その小説は読まれないからです。
まず読んでもらうためには、「起」の部分に読者を引き込む劇的な事件を置く必要があります。
その事件の部分を読んだ読者に「それで次はどうなるの?」と思っていただければ、「承」と「転」の部分で物語はどんどん面白くなるので、読者はその流れで読んでくれるはずです。
もちろん、「起」以外の部分はどうでもいい話でいいわけではなく、選りすぐりのエピソードを置くべきことは言うまでもありません。
起承転結のそれぞれの場面に盛り込みたい物語を考える。
起承転結を意識して簡単なストーリーを組んだら、起承転結のそれぞれの場面を肉付けしていきます。
場面ごとに登場人物にやらせたいことや、遭遇させたい事件などを思いつくままに書いていきます。
キャラクターに言わせたいセリフも忘れないうちに書き込んでおきます。
恋愛シーン、アクションシーン、葛藤シーン、対立シーン、成長シーンなど、ライトノベルで必要な要素を盛り込んでいくわけです。
いろいろな物語を詰め込んでいくうちに、起承転結では収まりきらなくなることもあります。
そのような場合は、起承転承転結というように、構成自体を大きく変えることもあります。
そして、最も重要なことは、伏線を仕込むことです。推理ものなら必須の要素ですし、ライトノベルでも二度目に読んだときに、「あっ、ここに伏線があったんだ」と気づいてもらえるように、こっそりと入れています。
物語の大筋ができたら、それぞれの場面ごとに5W1Hを設定する。
起承転結に肉付けすることで、物語の大筋が完成します。
これだけでも物語として楽しめる内容になっているはずです。この時点で面白くない場合は、もう一度最初から考え直します。
物語の大筋ができたら、それぞれの場面ごとに5W1Hを設定します。
5W1Hも説明するまでもないと思いますが、
その場面ごとに、
- 誰を登場させるのか?
- いつ登場させるのか?
- どこに登場させるのか?
- 何をするのか?
- どのように行うのか?
- どうしてその行動を取るのか?
といったことをさらに細かく決めていきます。
特に重要なのは、キャラクターが「どうしてその行動を取るのか?」という点です。これが説明できないものは、その場面にそのキャラクターを登場させる必要がないので除外します。
キャラクターが多いと、会話文が渋滞してしまうので、できる限り、いらないキャラクターには退場してもらう意味もあります。
また、具体的な「日時」「天気」「気温」「風景」なども場面ごとに設定します。
日時とは、何年何月何日か、時刻はいつか? といったことです。事件が起きた日時が重要な要素になるときは、齟齬が生じないように慎重に設定します。
天気や気温も、物語の重要な要素です。
暑すぎる時は、キャラクターは薄着で汗をかいているかもしれませんし、寒すぎる時は厚着で動きが少なくなるかもしれません。雨だと、心理的にも沈みがちになります。キャラクターの服装や行動、さらに、心理にも大きな影響を及ぼすことを考慮して設定します。
風景は、キャラクターがいる場所の風景のことです。室内と外では見えるものが違います。室内なら、家具や棚などがありますし、室外なら、周りに建物や植物があるでしょう。
風景は小説執筆中に考えていると、時間がとられてしまうので、この段階でできる限り詳細に仕上げておきます。
プロットの完成。執筆スタート!
このようにしてプロットが完成したらあとは書いていくだけです。
でも、書いているうちに、プロットを変更したくなることがありますし、追加の要素を加えたくなることもあります。
そんな時は、プロットを大きく変えなければならないかどうかで、変更するか、追加の要素を加えるかを検討します。
私は、いったんプロットを設定した物語は、そのプロットで書き切ることが大切だと思っています。
プロットを大きく変えなければならない場合は、別の物語を書くときに使えるようにそのアイデアをストックしておきます。もちろん、その物語にしか使えない要素だったら、思い切って変えることもありますが、例外的な場合です。
大きな変更ではない場合は、現在進行形で書いている物語を修正したり、追加します。
そのため、物語が進むにつれて、プロットには変更点や追加要素がごちゃごちゃと書き加えられていくわけです。
小説を書き終えた後は?
物語を書き終えた後は、プロットと物語を見比べて、何が変わったのか、プロットで足りないものは何だったかを検討します。
そして、反省点を次のプロット作りや小説の執筆に役立てていきます。
まとめ
今回は、私なりのプロットの立て方を紹介しました。
プロットを作ることで、ブレのない小説を書き上げることができますし、執筆スピードも上がります。
ぜひ、参考にしてください。