この記事は日々、紫雲女子大学消費者センター(シジョセン)で行われているミーティングや相談内容について、著者大滝しおんが会話劇の形で書き留めたものです。
令和7年5月26日から、戸籍に氏名のフリガナを記載する制度が始まります。フリガナの届出に際して、手数料の支払いが必要になったり、届出しないと罰金を徴収されることはありません。戸籍のフリガナ関係の詐欺に注意しましょう。
紫雲女子大学消費者センター(シジョセン)でもこの件についてのミーティングが行われたので書き留めておきます。
登場人物
神前愛佳(部長、消費生活相談員、予備試験合格者、法学部3年)
芽森琴音(カウンセラー、お嬢様、家政学部2年)
白砂菜月(アシスタント、空手女子、体育学部2年)
七緒実乃里(アシスタント、ヒロイン、法学部1年)
村正悠也(顧問弁護士、24歳のイケメン?)
登場人物の詳細はこちらでご確認ください。
愛佳「それじゃあ、ミーティングを始めるわよ」
実乃里・琴音・菜月「よろしくお願いします」
村正「ふぁぁ。眠い」
愛佳「令和7年5月26日から戸籍法の改正法が施行されるわ。何が変わるのか。実乃里ちゃん、説明してくれるかしら?」
実乃里「はい。戸籍にフリガナが記載されるようになるんですよね。令和7年5月26日から出生届を出すときは、フリガナも記載することになると」
愛佳「そうね。じゃあ、今、戸籍がある私たちはどうなるのかしら?」
琴音「今、戸籍がある人は市区町村の方で、戸籍に氏名のフリガナを記載してくれるんですわね」
菜月「でも、勝手にフリガナを付けられたら、間違えられやすい氏名の人は困るよな」
愛佳「そこで、令和7年5月26日以降に何があるのかしら? 実乃里ちゃん?」
実乃里「はい。令和7年5月26日以降に市区町村から戸籍に記載される予定の氏名のフリガナが通知されるんですね。ハガキのようなものが送られてくるそうです」
琴音「本籍地の市区町村長から住民票上の住所に宛てて送られてくるそうですわ」
菜月「住民票上の住所ということは、愛佳や実乃里の場合は、今住んでいるアパートに送られてくるんだな」
実乃里「あっ。そうなんですよね。じゃあ、私にも地元から送られてくるということなんですね」
愛佳「じゃあ、氏名のフリガナの通知が来たらどうしたら良いのでしょう? 村正"先生"、教えてください」
突然指名された村正先生は、椅子に寝そべって眠たそうです。
村正「はあ? 氏名のフリガナの通知だと? そんなもんどうでもいいだろ」
愛佳「そうよ。村正"先生"みたいに原則として何もしなくていいのよ」
実乃里(村正先生は氏名のフリガナの通知が来ても気づかなそう)
菜月「でもさあ。間違えられやすい名前の人は気になるよな。私は、シラスナ「ナツキ」だけど、「ナヅキ」に間違われているかもしれないし」
琴音「通知に記載されていたフリガナが間違っている場合だけ、正しいフリガナを届け出ることになっているんですわよね。私は、メモリ「コトネ」だから、間違われることはないと思いますわ」
実乃里「私もナナオ「ミノリ」ですし大丈夫だと思います」
愛佳「私も名は「アイカ」で間違われることはないと思うわ。でも、氏は間違われやすいのよ。「カミマエ」とか「シンゼン」って読まれてしまうこともあるわ。正しい読み方は「カンマエ」なのよね」
実乃里「氏が間違っていたら誰が届け出するんでしょう?」
愛佳「氏は戸籍の筆頭者が届け出ることになるわ。私の場合は地元で父が届け出るはずだから、私は何もしなくていいということだわ」
実乃里「じゃあ、私たちは、名の方だけ確認すればいいんですね」
琴音「届出には期限があるんですわね」
菜月「改正法の施行日(令和7年5月26日)後1年以内だって。来年の5月までに届出すればいいんだな」
琴音「届出をしなければ、令和8年5月26日以降に、通知に記載されたフリガナがそのまま戸籍に記載されるということですわ」
愛佳「そして、戸籍に氏名のフリガナを記載する制度が始まることにより、詐欺も懸念されているわ。どういう詐欺かしら?」
実乃里「はい。例えば、フリガナの届出に手数料の支払いが必要だから支払えという詐欺が懸念されるそうですね」
琴音「そもそも戸籍の届出に手数料はかかりませんわね。手数料が取られるのは、戸籍謄本などを取得するときですわ」
菜月「それに手数料だって、普通の戸籍謄本は450円だからな。一番高い除籍簿謄本とか改製原戸籍でも750円だ。数万円とか言われたら、詐欺だって気づくはずだ」
実乃里「それからもう一つ、フリガナの届出をしていないから罰金を支払えという詐欺も懸念されるそうです。届け出しない人がほとんどだと思うので、こっちの方が引っかかりそうですよね」
愛佳「そうね。氏名のフリガナの届出をしなかったとしても罰則や罰金はないわ。この点は周知する必要があるわね」
実乃里「そもそも、戸籍法って罰則や罰金ってあるんでしょうか?」
愛佳「もちろんあるわ。戸籍法の132条以下に規定されているからざっと目を通すといいわ」
実乃里は早速、六法で戸籍法の該当する条文を確認しました。
実乃里「戸籍事務に係る職員さんが秘密を漏らしたら罰則があるということが書かれていますね」
琴音「それから虚偽の届出をした場合は、私たちも罰則に処せられるようですわね」
菜月「戸籍の不正取得の場合も罰則があるな。村正がやりそうなことだ」
村正「ふぁぁ? 何言ってんだ、おめえ」
愛佳「そして、今回の氏名のフリガナの届出で関係しそうなのは次の規定ね」
戸籍法
第百三十七条 正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、五万円以下の過料に処する。
実乃里「こんな規定があることを示されると、騙されちゃう人もいるかもしれませんよね」
愛佳「そうね。でも、今回のフリガナの届出は、間違っている場合は届け出てくださいというもので、義務付けられているわけではないから、この規定は適用されないわ」
愛佳「そういうわけで、氏名のフリガナの届出に関して注意したいことは何かしら?」
実乃里「はい。氏名のフリガナの届出は通知が間違っていた場合に行いましょう。でも、届出をしなくても罰金になることはありません。それから、届出に手数料はかかりません。便乗詐欺に注意しましょう」
愛佳「そうね。じゃあ、私たちも大学の内外で周知するわよ」
琴音「私もSNSで告知しますわ」
村正「ふぁぁ。俺の名前はムラマサユウヤだからな。間違えるなよ」
菜月「誰もお前の名前なんか気にしねえよ」
この会話劇に登場する女子大生たちの活躍は、下記のライトノベル小説「紫雲女子大学消費者センターの相談記録」でお読みいただけます。
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