文響社から出版中の紫雲女子大学消費者センター(シジョセン)シリーズの登場人物たちによる会話劇「シジョセン劇場」。今日のテーマは「ボイスフィッシング詐欺」です。
中小企業を標的としたボイスフィッシング詐欺が流行っています。フィッシング詐欺はメールで偽サイトに誘導し銀行預金の口座番号やパスワードなどを抜き取るものですが、ボイスフィッシング詐欺は金融機関を装った「電話」により巧みに偽サイトに誘導する方法です。その手口について、紫雲女子大学消費者センター(シジョセン)でも話題になったので書き留めておきます。
登場人物
神前愛佳(部長、消費生活相談員、予備試験合格者、法学部3年)
芽森琴音(カウンセラー、お嬢様、家政学部2年)
白砂菜月(アシスタント、空手女子、体育学部2年)
七緒実乃里(アシスタント、ヒロイン、法学部1年)
村正悠也(顧問弁護士、24歳のイケメン?)
登場人物の詳細はこちらでご確認ください。
琴音「これは、新手のフィッシング詐欺ですわね」
ノートパソコンでニュースサイトを見ていた琴音がつぶやきました。
実乃里「フィッシング詐欺って、メールが送られてきて、メールに書かれているURLをクリックすると、銀行とかの偽サイトに誘導されるという手口ですよね」
菜月「最近はそんな手口に引っかかる人は減っているだろうな。そもそも、口座のない銀行からメールが送られてくれば、詐欺って分かるし」
愛佳「メールの内容が気になるなら、公式サイトやアプリに直接アクセスして、確認することね。とにかく、メールのURLは絶対にクリックしないのが基本だわ」
琴音「ところが、ボイスフィッシング詐欺の場合は、まず、電話が来るそうですわ」
どういう手口なのか気になった実乃里たちは琴音のノートパソコンを覗き込みました。
実乃里「まず、詐欺犯は金融機関を装って電話をかけて、情報の更新が必要と偽って会社のメールアドレスを訊ねる」
愛佳「被害者がメールアドレスを知らせるとメールが送られてくる。そして、そのメールのURLをクリックすると偽サイトに誘導されてしまうわけね」
琴音「そうですわ。あとの流れは、一般的なフィッシング詐欺と同じですわね。ただ、この手口は中小企業が標的になっているだけに、一社あたり億単位の被害を受けてしまうこともあるそうですの」
菜月「最初の電話は自動音声なんだな。音声ガイダンスにしたがって操作すると、詐欺師が出てきて手続きに必要だからとメールアドレスを訊ねられるわけか」
愛佳「自動音声ということは、自動で電話するシステムを使っているのかしら?」
琴音「オートコールというシステムですわ。リスト順に自動音声で電話をかけられるんですの。そして、反応があった時だけ、詐欺犯が直接電話に出るということですわね」
実乃里「詐欺犯も効率的にやっているんですね……」
菜月「でもさあ。そもそも、本当に取引先の銀行だったら、メールアドレスなんて聞かなくても知っているはずだよな」
琴音「そうですわ。メールアドレスを聞かれる時点でおかしいと気づくべきですわね」
愛佳「そうね。電話だと、騙されやすいのかもしれないけど、結局、予防策は同じだわ」
実乃里「はい。メールのURLは絶対にクリックしないということですね」
琴音「ニュースでは、現在の標的は中小企業のようですけど、いずれ、個人の方も標的になるかもしれませんわ」
愛佳「そうね。こういうフィッシング詐欺もあることを周知すべきね」
その時、部屋の片隅の椅子で熟睡していた村正先生のスマホに着信がありました。
村正「ぐう……。んっ……、なんだ? もしもし……」
村正「はあ……? 俺の銀行口座が凍結されただと……! ちょっと待て! なんだコレ! 自動音声じゃねえか! 人間出せ! 人間!」
実乃里「村正先生。落ち着いてください。それって、ボイスフィッシング詐欺じゃないですか?」
村正「えっ? フィッシング詐欺? 電話でフィッシング詐欺なんてあるのか?」
菜月「また、お前が真っ先に引っかかってるのな」
琴音「電話の話を聞いてないで、直接、銀行のサイトやアプリ、正式な問い合わせ先で確認してくださいませ」
愛佳「その必要はなさそうだわ。どうせ大した金額が入ってないんでしょ」
村正「はあ? 何言っているんだ! 俺だって、実乃里ちゃんと結婚するための資金を貯めてるんだからな!」
実乃里「ええっ!」
この会話劇に登場する女子大生たちの活躍は、下記のライトノベル小説「紫雲女子大学消費者センターの相談記録」でお読みいただけます。
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