この記事は日々、紫雲女子大学消費者センター(シジョセン)で行われているミーティングや相談内容について、著者大滝しおんが会話劇の形で書き留めたものです。
警察庁が「紛失防止タグを使ったストーカー被害が増えている」との集計結果を発表しました。GPS機器によるストーカー行為はストーカー規制法により禁止されていますが、紛失防止タグは対象外となっているため、今後、法改正が求められています。この件について紫雲女子大学消費者センター(シジョセン)でもミーティングが行われたので書き留めておきます。
登場人物
神前愛佳(部長、消費生活相談員、予備試験合格者、法学部3年)
芽森琴音(カウンセラー、お嬢様、家政学部2年)
白砂菜月(アシスタント、空手女子、体育学部2年)
七緒実乃里(アシスタント、ヒロイン、法学部1年)
村正悠也(顧問弁護士、24歳のイケメン?)
登場人物の詳細はこちらでご確認ください。
愛佳「それじゃあ、ミーティングを始めるわよ」
実乃里・琴音・菜月「よろしくお願いします」
実乃里「今日は、村正先生はお休みでしょうか?」
菜月「どっかでサボってるんだろ」
琴音「きっとお昼寝しているんですわ」
愛佳「あいつのことはどうでもいいわ。今日は、紛失防止タグを使ったストーカー被害が増えているという話よ」
実乃里「紛失防止タグって、AirTagとかのスマートタグのことですよね。家の鍵とか大切なものに取り付けておけば、紛失した時に、スマホで場所を探せるんですよね」
菜月「紛失防止タグを被害者の持ち物とかにこっそり仕掛けて、位置を探るという方法かな。手口としては新しいものではないよな」
琴音「そうですわね。プレゼントとかを貰った時は、紛失防止タグやGPSが仕掛けられていないかチェックすることが大切ですわね」
菜月「でも、そういうのって、ストーカー規制法だっけ? 法律で処罰の対象になっているんじゃなかった?」
愛佳「ストーカー規制法では、位置情報記録・送信装置による位置情報無承諾取得等が禁止の対象なのよ。簡単に言えば、GPSによるストーカー行為のみが禁止されているということね」
琴音「GPSだけが禁止なんですわね? すると、AirTagのようにBluetoothの仕組みを使う紛失防止タグは規制の対象外ということですの?」
愛佳「そういうことよ。だから、法改正が必要とされているのよ」
菜月「法改正なんてするまでもなく、紛失防止タグも位置を知るのに使えるんだから規制の対象ということでいいんじゃないの?」
愛佳「そうはいかないのよ。実乃里ちゃん、どうしてか分かるかしら?」
実乃里「……うーん……。あっ! 罪刑法定主義ですね。刑法などで処罰の対象となる行為は、あらかじめ法律で明確にして置かなけれはならないという原則です」
愛佳「そうよ。刑事法では、類推解釈は原則として禁止されているのよ。紛失防止タグによるストーカー行為もGPSによるストーカー行為と似ているから罰しようというのはダメなのね。だから、紛失防止タグによるストーカー行為を規制対象にするには法改正が必要ってこと」
菜月「そうなんだな」
琴音「お勉強になりましたわ」
愛佳「いずれにしても、紛失防止タグによるストーカー行為に注意するように告知するわよ。実乃里ちゃんも気をつけるのよ」
実乃里「はい。気をつけます」
ミーティングが終わったところで、シジョセンの部屋に村正先生があくび混じりに入ってきました。
村正「あー。マジで忙しい。今日は、何か、なければすぐ帰るから。これ、和泉先生から差し入れだとよ」
村正はそう言いながら、クッキーなどが入っているらしい紙袋をテーブルに置きました。
愛佳「忙しいとか嘘つかないでよね。どうせ、今までどっかに寄って、サボってたんでしょ!」
村正「はあ? 何言っているんだ! 事務所から直行してきたんだぞ! 休む暇もないほど忙しいんだ!」
すると琴音が紙袋を開いて何かを取り出しました。
実乃里「えっ。それって、紛失防止タグじゃないですか!」
琴音「村正先生が、どこでサボっていたか、和泉先生は把握しているということですわ」
村正「はあぁぁぁぁ? ストーカーじゃねえか! ストーカー規制法違反だぁ!」
菜月「今のところ、紛失防止タグによる位置情報取得は、ストーカー規制法の対象外なんだぞ。弁護士のくせにそんな事も知らないのか?」
村正「ありえねぇぇぇぇ!」
実乃里(なんか、村正先生大変そう……)
この会話劇に登場する女子大生たちの活躍は、下記のライトノベル小説「紫雲女子大学消費者センターの相談記録」でお読みいただけます。
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