大滝しおんの晴筆雨筆

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意思能力のない者の行為(大審院判明治38年5月11日)

シジョセンと学ぶ民法判例集は、紫雲女子大学消費者センターの相談記録(シジョセン)の登場人物たちの会話劇で民法の主要な判例をおさらいするシリーズです。
今日のテーマは「意思能力のない者の行為(大審院判明治38年5月11日)」です。

 

登場人物
神前愛佳(部長、消費生活相談員、予備試験合格者、法学部3年)
芽森琴音(カウンセラー、お嬢様、家政学部2年)
白砂菜月(アシスタント、空手女子、体育学部2年)
七緒実乃里(アシスタント、ヒロイン、法学部1年)
村正悠也(顧問弁護士、24歳のイケメン?)
 
登場人物の詳細はこちらでご確認ください。

ootakishion.com

 

実乃里は民法総則の基本書を前にして頭を抱えていました。

 

実乃里「はあ。どうやって覚えたらいいんだろう……」

 

するとまっさきに実乃里のそばに駆け寄ったのは、紫雲女子大消費者センターの顧問弁護士村正悠也である。

たった今まで椅子を3つ並べて寝そべっていたこともあってか、頭には寝癖が立っている。

 

村正「実乃里ちゃーん。何が分からないのかな? 俺が教えてあげるよ」

実乃里(えっ。村正先生を呼ぶつもりはなかったのに)

村正「どれどれ、民法の判例を勉強しているのか。意思能力のない者の行為(大審院判明治38年5月11日)……。実乃里ちゃん、こんな判例、今更、読まなくていいよ」

実乃里「えっ。でも、判例百選に載っているんですし、重要なんじゃないですか?」

村正「昔は、意思能力がない場合の効力がどうなるか、民法に規定がなかったから、この判例が重要だったんだ。今は、民法にこの規定があるから、この条文さえ覚えれば、OK」

 

民法

第二節 意思能力

第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

 

実乃里「うーん。意思能力ってなんですか?」

村正「簡単に言えば、契約する時に、契約を結ぶことの意味を理解していない時は、その契約は無効という意味だよ。この条文の法律行為を契約に置き換えて読めばいいんだ」

実乃里「つまり、契約の当事者が意思表示をした時に契約を結ぶことの意味を理解していないときは、その契約は、無効とする。ということですか?」

村正「そう。簡単だろ」

実乃里「確かに、簡単な話ですね」

 

すると、二人の話を聞いていた愛佳が割り込みました。

 

愛佳「実乃里ちゃんが分からないのは、4つの能力の違いじゃないかしら?」

実乃里「あっ、そうなんです! 権利能力、意思能力、行為能力、責任能力と出てくるんですけど、違いがよく分からないんです」

菜月「なんかめんどくさそうな話だな」

琴音「責任能力というのは、刑事事件でよく出てきますわね。責任能力があるから有罪になるんですわね」

村正「刑事事件とは違うんだ。民法の責任能力は、弁償する義務があるという意味。大体、11歳から12歳になれば、責任能力が備わる。つまり、小学6年生くらいから、人の物を壊したら弁償しなければいけないってことだ」

実乃里「じゃあ、意思能力はいつから備わるんですか?」

村正「うん。契約の代表例は売買契約なんだよ。つまり、お店で買い物ができれば、意思能力があると判断していいんだ。大体、7歳から10歳になれば、意思能力が備わると言われている」

実乃里「へえ。お買い物ができればいいんですね。それなら小学生3年生くらいになれば大丈夫ですよね」

愛佳「そして、生まれたばかりの赤ん坊でも備わる能力もあるわ。何か分かるかしら?」

実乃里「うーん。赤ん坊が何か行為をする、つまり行為能力は無理そうだし、残りは権利能力ですか?」

愛佳「正解よ。権利能力とは、権利や義務を有する地位や資格のことね。民法の次の条文に規定されているわ」

 

民法

第一節 権利能力

第三条 私権の享有は、出生に始まる。

 

村正「そんな抽象的な表現だから、学者の基本書は読みにくいんだよな。要するに、赤ん坊だって自分のおもちゃを所有できるという意味だ」

実乃里(確かに分かりやすい。村正先生って教えるの意外にうまいのかも)

菜月「じゃあ、行為能力ってなんだよ?」

村正「決まってんだろ。自由に◯◯◯◯(◯行為)して良い年齢のことだ。結婚して良い年齢なんだから成人したときだ! 実乃里ちゃんもいつだって俺と結婚していいんだ!」

実乃里「ええっ!」

愛佳「ちょっと! セクハラよ!」

菜月「口を慎め!」

琴音「実乃里ちゃん、こっちにいらして」

 

 

まとめ(村正流)

 

意思能力のない者の行為(大審院判明治38年5月11日)の判例は読まなくていい。

意思能力のない奴がした法律行為(契約)は無効(民法3条の2)。

 

4つの能力の違いの覚え方

権利能力 赤ん坊でもおもちゃを所有する権利がある

意思能力 買い物ができればOK(7歳から10歳ぐらい)

責任能力 弁償する責任がある(11歳から12歳ぐらい)

行為能力 結婚して自由に◯◯◯◯(◯行為)できる年齢=成人年齢

 

この会話劇に登場する女子大生たちの活躍は、下記のライトノベル小説「紫雲女子大学消費者センターの相談記録 初回500円の甘い罠」でお読みいただけます。

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