本命の人が他の人と交際している場合にその交際を終わらせるために、探偵事務所に「別れさせ工作」を依頼するケースもあるようです。
では、探偵の別れさせ工作は、公序良俗に反しないのでしょうか?
もしも、公序良俗に反するとしたら、別れさせ工作委託契約は無効になるため、依頼者は代金を支払う義務がないことになります。
裁判所は、「別れさせ工作委託契約」が公序良俗に反するのは次のような方法による場合であると判示しました。
- 人倫に反し関係者らの人格、尊厳を傷つける方法
- 関係者の意思に反してでも接触を図るような方法
- 関係者らの自由な意思決定の範囲で行うとは言えない方法
ちなみに、裁判の事例では、次のような工作方法を用いたようです。
- 工作員女性を対象男性に近づける。
- 対象男性が工作員女性と浮気をしている事実を指定女性(依頼者の本命の女性)に知らせる。
- 浮気されたと知った指定女性が対象男性との交際を終わらせる。
なお、関係者全員が未婚であることを確認した。
また、工作員女性には、肉体関係を持つことで目的を達成することを禁止し、実際に対象男性と食事をする程度のものにとどめていた。
このようなケースだったため、裁判所は、「別れさせ工作委託契約」が公序良俗に反するとまでは言えないと判断しました(大阪地判平成30年8月29日)。
この判例は最高裁サイトでも検索できるので興味がある方は参考にしてください。