大滝しおんの晴筆雨筆

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未成年者取消権と未成年者の詐術(茨木簡判昭和60年12月20日)

今日のテーマは未成年者取消権と未成年者の詐術です。

未成年者が親権者などの法定代理人の同意を得ないで契約したとしても原則として取り消すことができます(民法5条)。しかし、未成年者が成人していることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない事になっています(民法21条)。

 

この知識を前提に今回の事例を見てみましょう。昭和60年の判例です(茨木簡判昭和60年12月20日)。

当時18歳で働いていた未成年者がキャッチセールスによって、エステ美容の化粧品を代金約16万円で購入し、月に1万4千円で12回払いとする立替払契約を結びました。

そして、契約書の生年月日欄には20歳に達していると偽るために嘘の生年月日を記載したという事例です。

 

嘘の生年月日を記入することで、成人したと偽っていた場合は、詐術に当たるため、未成年取消しができなくなります。

ただ、この事例では、販売業者の従業員の指示により書かされたものであると認定されたので、詐術に当たらないと判断されました。

 

また、業者側からは、月々の支払額が1万4千円なので、民法5条3項の「処分を許した財産」に当たるから、未成年取消しの対象にならないとの主張もなされたようです。

 

民法

(未成年者の法律行為)

第五条

3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

 

ただ、この点についても、裁判所は、処分を許した財産とは、「代金の総額で判断すべき」としました。

この事例では、代金の総額は約16万円なので、とても処分を許した財産と判断することはできないとされました。

よって、未成年取消しが可能だった事例です。

 

未成年取消しの主張を検討する際は参考にしてください。