大滝しおんの晴筆雨筆

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マンションの売買契約を解除した場合の違約金条項(福岡高判平成20年3月28日)

今日はマンションの売買契約を解除したら高額な違約金を請求されてしまった事例です。

Aさんはマンションの売買契約を締結したあとで家族で話し合ったところ、家族に反対されたために、マンションの売買契約を解除しました。

その結果、宅建業者から売買代金の20%に当たる違約金として約700万円を請求されてしまいました。

この違約金の額は合法なのでしょうか?

 

消費者契約法には次の規定があります。

 

消費者契約法

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効等)

第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

 

つまり、契約解除に伴う違約金については、契約解除に伴い事業者が負う平均的な損害額までなら認められるけど、それを超える分は無効だということです。

この事例では、違約金の額が約700万円ですが、売買契約を解除されただけで、それほどの損害が生じるとは考えられません。

そのため、違約金の額が高すぎるのではないかという疑問が生じます。

 

ただ、消費者契約法には次の規定もあります。

 

消費者契約法

(他の法律の適用)

第十一条 

2 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力について民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 

つまり、他の法律に別段の定めがある場合は、その法律の規定に従いますよということです。

そして、マンションの売買契約は、宅地建物取引業法により別段の定めが設けられています。

次のとおりです。

 

宅地建物取引業法

(損害賠償額の予定等の制限)

第三十八条 宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。

2 前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする。

 

つまり、不動産の売買契約が一方的に解除された場合に違約金の支払いを求める旨の条項を設けることは有効ですし、売買代金の20%を上限に違約金を請求して良いことになっています。

よって、宅建業者は売買代金の20%に当たる違約金を請求してよいということです。

 

もっとも、この事例では、Aさんが売買契約を解除した後で、1ヶ月も経過せずに他の買い手が見つかりました。

そのため、宅建業者に約700万円もの損害が生じたとは考えられません。

そこで、裁判所は、約700万円という額は高額すぎるので信義則により一部無効とすべきで、手付金200万円に加えた200万円の限度でその効力を認めるべきとしました(福岡高判平成20年3月28日)。

 

マンションの売買契約解除に伴う違約金の支払いについての消費者トラブルの際は参考にしてください。