今日は予備校の教材をメルカリに出品したら予備校から高額な違約金を請求されてしまった事例です。
Aさんが受講した大学受験の予備校の受講契約には、予備校の教材や情報を予備校の許可なしに第三者や他の受講生に譲渡することを禁止する旨と、これに違反した場合は、受講料の約10倍、または500万円のいずれか高額な方の違約金の支払いを求める旨の条項が設けられていました。
ところがAさんは、その予備校の教材をメルカリに出品しました。これを予備校が把握して、Aさんに対して500万円の違約金の支払いを求めたという事例です。
Aさんは支払いに応じなければならないのでしょうか?
予備校の教材や情報には、予備校独自のノウハウもあるので、譲渡禁止条項やその違約金の定めを設けることも有効と解されています。
ただ、500万円という違約金の額が高額すぎることが問題です。
このような場合は、まず、消費者契約法に基づくと、違約金の額が無効ではないかと考えます。
消費者契約法9条には、違約金に関する規定として次の2つの条項があります。
- 契約解除に伴う違約金を事業者の平均的損害を限度とする旨の定め
- 金銭債務の遅延損害金を年利6%を上限とする旨の定め
この事例ではいずれも利用できそうもありません。
このような場合に検討されるのが消費者契約法10条の規定です。
消費者契約法
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
民法
(基本原則)
第一条
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
つまり、消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する条項で信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効とする規定です。
これらの規定を根拠に裁判所は、500万円の違約金は高額すぎるので、公序良俗に反すると判断しました。
ただ、譲渡禁止条項やその違約金の定めは有効として、違約金の額も100万円の限度で有効と解しました(東京地判令和4年2月28日)。
譲渡禁止条項やその違約金の定めに関する消費者トラブルが起きた時は参考にしてください。