今日も「マンションの心理的瑕疵」に関する判例です。
Aさんはマンションの居室を購入しました。ところがこのマンションの居室は前入居者が長期間に渡って、性風俗特殊営業のために利用していました。
なお、このマンションでは、管理規約により居室を住居用以外の用途で使用することは禁止されていましたが、当該居室への人の出入りからして当該営業が営まれているのではないかとの噂が流れ、管理組合が調べたところ事実が発覚しました。
その前入居者は賃借人だったことから、管理組合が前入居者に対して、賃貸借契約解除と居室の明渡しを求める訴訟を提起、その後和解が成立し、前入居者が退去したという経緯があります。
果たして、このことは心理的瑕疵に当たるのでしょうか?
裁判所は、上記のような事情がある居室を購入者が使用することにより通常人として耐え難い程度の心理的負担を負うというべき事情に当たると判断しました。
そのうえで、裁判所は当該居室の売主と仲介した宅建業者に対して、Aさんに100万円の損害賠償を行うように命じました(福岡高判平23年3月8日)。
心理的瑕疵というと、いわゆる事故物件をイメージしがちですが、こうした事例でも心理的瑕疵に当たることがあるということです。参考にしてください。