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英会話教室の校舎が閉鎖、統合されたことは債務不履行に当たるのか?(名古屋高判平成19年9月27日)

今日のテーマは、「英会話教室の校舎が閉鎖、統合されたことは債務不履行に当たるのか?」です。

英会話教室では、学校側は受講生に英会話のレッスンを提供する義務を負っており、レッスンを提供できない場合は債務不履行責任を負うことになります。

代表例としては、外国人講師を用意できずに、レッスンを提供できないというケースが挙げられます。

では、教室が閉鎖されたことでレッスンが提供できない場合はどうでしょうか?

 

Aさんは英会話教室の甲校が勤務先から近く、勤務の後に通うのに便利だったため、甲校でのレッスンを受けていました。

ところが、英会話教室側が甲校を閉鎖し、約772m離れた乙校に統合すると一方的に通告しました。Aさんが乙校に通うには所要時間で約10分かかってしまします。

なお、英会話教室の規約では、レッスンを提供する債務の履行場所については具体的な定めがありませんでした。

Aさんは英会話教室に対して、債務不履行責任を問えるのかという問題です。

 

判例の事例では、受講生は申込みをしたスクールの所属とされ、契約書及び生徒カードにも所属スクール名が記載されていました。つまり、Aさんは甲校の所属の生徒とされていたわけで、乙校で受講するには転学手続が必要でレッスン料の支払いも別に発生する仕組みでした。

そのため、裁判所は、Aさんは甲校でレッスンを受ける権利があり、英会話教室が甲校を一方的に閉鎖したことはAさんに対する債務不履行に当たると判断しました。

英会話教室がAさんにレッスンを提供する債務の履行場所は甲校だと認定したわけです。

なお、英会話教室がAさんに乙校でのレッスンを提供したとしてもその英会話教室が「駅前留学」を謳っている以上、受講契約の債務の本旨に従った履行とは言えないと判断しました(名古屋高判平成19年9月27日)。

 

英会話教室に限らず、予備校や塾でも当てはまる事例と考えられるので参考にしてください。