今日は「訪問販売による請負契約を中途解除した場合の違約金の支払額の制限」についての判例です。
AさんはB社の太陽光発電システムの訪問販売を受けて、自宅への施工を依頼しました。しかし、B社が工事に着手する前にAさんが契約解除を申し入れました。
そこでB社がAさんに対して、設備仕入れ費用等の約130万円について請負契約の中途解除に伴う損害賠償額として請求しました。
AさんはB社にこの金額を支払わなければならないのでしょうか?
まず、この事例では、クーリング・オフや特定商取引法による契約の取消しは使えない事例だったようです。そこで通常通り、民法の規定による契約解除を申し入れました。
太陽光発電システムを施工する契約は、請負契約です。請負契約では注文者であるAさんは、次の規定により契約解除の申し入れができます。
民法
(注文者による契約の解除)
第六百四十一条 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
この規定により、Aさんが契約解除するには、B社の損害を賠償しなければなりません。B社はその損害額として、設備仕入れ費用等の約130万円を請求したということです。
ただ、Aさんの家に設置したわけでもないのにこれだけの額を請求されるいわれはないのではないかと考えるわけですね。
この事例は、訪問販売ですから、特定商取引法に使える条文があります。
特定商取引法10条(訪問販売における契約の解除等に伴う損害賠償等の額の制限)の規定です。1項四号に次のように規定されています。
四 当該契約の解除が当該商品の引渡し若しくは当該権利の移転又は当該役務の提供の開始前である場合 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額
太陽光発電システムはB社が施工する前は、メーカーかまたはB社が占有もしくは所有しているはずです。そして施工前にAさんが契約解除したわけですから、Aさんは太陽光発電システムの引渡しを受けていません。
そのため、この規定を使うことができるということです。
裁判所は、この事例で契約の締結及び履行のために通常要する費用の額は、契約書類の作成費用と印紙税の計1500円が限度であると認定しました(千葉地裁松戸支部判令和4年2月21日)。
太陽光発電システムだけでなくリフォームなどの訪問販売を受けて契約解除したところ、法外な違約金を請求されている場合は、この判例を参考にしてください。