紫雲女子大学消費者センターの相談記録を執筆した大滝しおんがリーガルコメディの小説家・作家になるまで 大学~実務家編

私「大滝しおん」は、「紫雲女子大学消費者センターの相談記録 初回500円の甘い罠(通称:シジョセン)」を文響社から出版することになりました。

この本は、「読むだけで法学部の消費者法の講義を受けたのと同等以上の知識を習得できるライトノベル」です。

ライトノベルとは名ばかりのお堅い小説ではありません。

「リーガルコメディ」と宣伝されているほど、楽しいライトノベルです。

生い立ち編で紹介したように、本来は、「私が時代小説を書いて時代劇を救う!」という吹っ飛んだ志で小説を書いていた私が、どうして、リーガルコメディの小説を文響社から出版することになったのか?

今回は、いよいよその答えに近づくエピソードを紹介します。

生い立ち編に続けてお読みください。

公事宿ものに挑戦しようとするも

法学部法律学科に入学した私は、時代小説の執筆から離れたのかというとそんな事はありません。

高校入試、大学入試から開放された私は、今こそ、小説家、作家になるべく、本気で取り組む好機だと考えました。

大学では法律の沼に浸りつつ、夜になるとハッと気を取り直して時代小説を執筆し、新人賞の公募への投稿も始めたのです。

江戸時代に「公事宿」という今で言う弁護士事務所のような組織があることを知ったのも、その頃でした。

「法律+時代劇=公事宿」

これって、法律を学びつつ、時代劇が好きな私にとって、最適なテーマではないかと思ったものです。

「それなら早速、書いてみよう!」

そう意気込んだもののすぐに頓挫しました。

そもそも、江戸時代の訴訟制度についての知識が足りなすぎるのです。

法学部なら、江戸時代の訴訟制度の勉強をやるかなと思って、シラバスを調べました。すると、

  • 西洋法制史
  • 日本近代法制史

がありました。

西洋法制史では意味がないことは言うまでもありません。こちらは、西洋の法律がどのように発展して、やがて日本に導入される法律となったかという話で、憲法の延長のような話です。

日本近代法制史は、明治時代に日本に導入された法律がその後、どのようにして発展したのかという主に大審院時代の話です。

当然、江戸時代の話はありません。

そういうわけで、公事宿という面白そうなテーマを前にしつつ、今取り組むのは時期尚早だなと思ったわけです。

資格試験の勉強に打ち込む

大学で法律の沼に浸るようになった私は、小説執筆の傍ら、法学部法律学科に入学した本来の目的である「手に職を付ける」ことを実践するために、資格試験に挑戦しました。

最初に狙った資格は宅建士(宅地建物取引士)です。

先輩方から、「司法試験の前に宅建士を取れ。宅建士に受からなければ司法試験は無理」と言われていたので、その言葉を鵜呑みにしてまずは、宅建士を受けようと決めたわけです。

権利関係は、民法の勉強から始まるので、確かに法学部生向けの資格だなと思いました。

ところが、法令上の制限に進むと、建築基準法という法律があり、北側斜線制限だとか道路斜線制限といった建物の設計の話とかが出てくるわけです。

しかも容積率の求め方とか、建ぺい率の求め方とかの計算問題もあるわけです。

「えっ? これって、建築学科の人が勉強する話でしょ?」

と目が点になりました。

「宅建士が法学部生向けの資格って大嘘じゃないか! 騙された!」

と思ったものです。

でもそこは、「ちょっと変わった数学の教養問題」と割り切ることにして、あとは丸暗記です。

なんだかんだ言いながら、一発で宅建士試験に合格しました。

宅建士試験の勉強は法学部の意外な科目で役に立ちました。

行政法です。

行政法がわかりにくい科目であることは、別の記事でも紹介していますが、宅建士試験で、宅建業法(宅地建物取引業法)を学んだことは、行政手続きの流れを理解するのに大変役に立ちました。

行政法がわからないと悩んでいる方がいたら、まず、宅建業法で宅建業免許の申請から免許が下りるまでの流れを勉強してください。そのイメージと照らし合わせながら、行政法の講義を聴くと理解しやすいと思います。

宅建士に合格した後、私は次のステップとして、行政書士試験へと進み、在学中にいくつかの資格を得ることができました。

法律の実務に関わりつつ小説の執筆を続ける

私は大学時代から法律事務所でアルバイトを始め、卒業後もそのまま居候することになりました。

ちなみに私は法科大学院には進学していません。法科大学院をテーマにした小説を書こうかなと思うこともありますが、そのためには、法科大学院の学生がどんな生活をしているのか、取材が必要になりそうです。

法律事務所で働きつつ、小説の執筆も続けていました。

相変わらず、時代小説を書き続けていたわけですが、次第に自分の書いているものが

「役に立つものなのだろうか」

という冷めた目で見るようになっていました。

「私が時代小説を書いて時代劇を救う!」

という子どもの頃の志は、時代劇が地上波で放送されなくなってからは、忘れ去っていました。

その頃には、新人賞の公募でもいいところまで残れるようになっていて、デビューまであと一歩というところでした。

実務ではクライアントへ説明することの難しさを痛感

資格の登録後、実務に本格的に取り組むようになると、いくつもの大きな壁が立ちふさがるようになりました。

その一つがクライアントへ説明することの難しさです。

クライアントは法律の専門家ではありませんので、法律用語をそのまま用いて話すと理解していただけなかったり、誤解を与えてしまうことがあります。

例えば、「善意、悪意」という法律用語は、勉強している方なら「知らなかった、知っていた」という意味だと理解できると思いますが、法律を知らない方に、

「善意だったんですね」

「悪意だったということですね」

このように話してしまうと違う意味で受け取られてしまいます。

一方で、平易な言葉で話すと正確性に欠けて、それはそれで勘違いさせてしまうのではないかという懸念もあります。

また、クライアントの中には、実用書などを読み込んで熱心に勉強したうえで相談される方もいます。

正確に理解している方もいらっしゃいますが、やはり、勘違いや誤解をしている方もいらっしゃいます。

このような時に、誤解している点について説明するのは、なかなか骨の折れることだと痛感したのです。

そんな時、私はよく例え話を持ち出していました。

守秘義務の観点から、他のクライアントの事例をそのまま伝えるわけにはいきませんから、空想の物語ということになるわけですね。

小説を書いていた私は、空想の話をするのは得意でしたから、クライアントに理解してもらうにはどんな物語で話したらよいか考えるのは楽しかったですし、私の特技にもなったのです。

法律をライトノベルで解説すると伝えやすいという気付きを得る

実務でのこうした経験は、私の小説執筆の方向性にも大きな影響を与えました。

新しい小説の構想を練っている時に、ふと思い出したのが、大学に入って、図書館で初めて借りた「士業の仕事を物語風に紹介した読み物」です。

大学では、いろいろな専門書を読みましたが、一番印象に残っていたのが、あの頃読んだ物語風の本だったのです。

「あんな物語のように一般の方にも分かりやすいものに書いたら、きっと役に立つだろうな」

そんなことを考えるようになっていました。

そして、小説「紫雲女子大学消費者センターの相談記録」のあとがきに書いたような志を抱き、小説執筆の方向性を大きく変えることにしたのです。

この話の続きは、私のデビュー作小説「紫雲女子大学消費者センターの相談記録」のあとがきに書いています。

私のデビュー作小説「紫雲女子大学消費者センターの相談記録」

本来は、時代小説を書くことを志して、日々鍛錬を続けていた私が、どうして、リーガルコメディを書くに至ったのか?

お分かりいただけましたでしょうか?

まだ、見えてきませんか?

でも、答えは私の小説のあとがきに書いてあります。

まずは、私のデビュー作となった小説「紫雲女子大学消費者センターの相談記録 初回500円の甘い罠(通称:シジョセン)」をお楽しみください!

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